2017.03.17

100年の歴史を誇る伝統の技―昆布販売 浅卯商店

明治43年創業。100年以上も昆布作りにこだわってきた名店です。店頭に並ぶ商品のほとんどが北海道産の真昆布を使用。
ご自慢は長年の歴史で培った技で仕上げる、美しいおぼろ昆布です。



「温い白ご飯には、この『黒白とろろ』をよく混ぜて食べてください。『白とろろ』は、タイなど白身の魚のお刺身と一緒に食べたり、お味噌汁にいれると美味しいですよ。上松葉はお茶漬けでぜひお試しください」
趣のある町家造りの店頭でお話してくださったのは、石橋京子さん。2012年に惜しくも逝去された三代目・浅田勇さんの娘さんです。柔らかなとろろ昆布を摘んでいただくと、舌の上で優しくとろけていきます。
機械化に頼らずに、職人さんたちが手で削ぐ伝統の製法。そもそも刃物の町である堺だからこそ、特別な刃物が必要な昆布削ぎが出来たのです。この道50年の職人さんが削る昆布はどこまでも薄く均一です。

■ 機械に頼らない、手づくりの美味しさを追求


堺港が商船でいっぱいだった100年前、埠頭にはたくさんの品物が溢れかえっていました。日本各地で水揚げされた上質な昆布も多く集まり、堺の昆布商はその新鮮な昆布を独自の製法で加工し、日本全国へ卸すという商いをしていました。ここ、浅卯商店もそんな昆布商のひとつ。
しかし、堺の港が広く埋め立てられ都市化するにつれ、多くの昆布商は暖簾を降ろしていきます。現代も続いている昆布商は業態を広げ、機械化を推し進め、さらに事業を大きくするところが大半。
しかし浅卯商店は製法を変えません。今まで培ってきた職人たちの腕を埋もれさせることなく、地道で一本気な昆布作りを続けています。


手作業で昆布を薄く薄く削っていく伝統の製法(左) かたちが特徴的な専用の包丁(右)


大変な仕事故、後継者問題には頭を悩ませる所ですが、三代目の遺志を継ぎ、技を守り続けているからこそ、『浅卯商店』では特別な味を出せるのです。
兎の暖簾、兎の置物を目印に、是非、足を運んでみてください!



<行き方>


●浅卯商店・・・阪堺線神明町駅から東へ徒歩10分



〒590-0933 堺市堺区柳之町東2-3-37
TEL:072-233-0637
営業時間:9:00~17:00
定休日:土・日・祝日

<取材協力>
&Rice - アンドライス
http://and-rice.com/