2017.03.24

日常に溶け込んだパワースポット!? ―仁徳さん(大仙陵古墳)

「心が穏やかになる」「願いごとがかなう」と、神社仏閣に限らず、全国各地の大地の力(気)がみなぎる場所をパワースポットと呼び、女性を中心にした人気は衰えしらずです。
ピンとこないかもしれませんが、古墳も不思議な力を持った立派なパワースポットだそうです。堺ではおなじみ、鍵穴のような形をしている仁徳天皇陵古墳(大仙陵古墳)<※親しみをこめて「仁徳さん」と呼ぶことにします>は、クフ王のピラミッド、秦の始皇帝陵に並ぶ世界三大墳墓のひとつであり、歴史あるパワースポットとしての呼び声があがっているのだとか。そういえば漫画「キン肉マン」では、前方後円墳の鍵穴っぽい形をそのまま地球のエネルギーを活動させるスイッチとして登場させていましたっけ。



■ 線路をまたぐお堀の水


360度、水で囲まれている仁徳さん。三重(さんじゅう)のお堀が水をたたえています。この豊かなお堀の水。一体どこからきているのでしょうか。
「今は南海高野線百舌鳥八幡駅の近く向陵公園の中にある芦ヶ池か水をひいています。途中、JR阪和線「三国ケ丘」駅のホームの上にある大きな水道管(パイプ)を通ってお堀にそそがれています」



NPO法人堺観光ボランティア協会理事長にして人気の観光ガイド、川上浩さんの説明に驚かされます。
お堀の水は向陵公園から延長1.4キロメートルの芦ヶ池水路をへて、仁徳さんにたどり着きます。
「巨大なパイプは『都市をうるおす水のみち』と名付けられ、ホームから見ることができますよ」
かつては、日本最古のダム式ため池、大阪狭山市に位置する狭山池からから仁徳さんの濠(ほり)につながり、堺の環濠(内川・土居川)から、大阪湾に注ぐという水の循環を形成していました。いわば、貴重な歴史的財産のひとつ。


堺観光ボランティア協会理事長 川上浩さん



■ 自然あふれる“町なか”の「聖地」


駅のホームを超えてきた水は、どこからお堀に流れだすのだろうかと思っていたら、「初霜坂(はつしもさか)」からだという、なんとも美しい言葉にであいました。
この坂は、「仁徳天皇陵古墳周遊道路」の西側にあります。春の産声“立春”からはじまる二十四節気(にじゅうしせっき)によると、西の方角が秋の「霜降(そうこう)」にあたります。そして北側には冬を思わせる堺の老舗料亭“丸三楼 雪陵庵(まるさんろう せつりょうあん)”、があることから初霜坂と名付けられました。
坂の欄干には、その名前にちなんで、三十六歌仙のひとり、凡河内 躬恒(おおしこうち の みつね)が「心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花」、初霜(冬の季語)を詠んだ和歌が刻まれています。
町の中にそのまま残されている仁徳さん。大きすぎて森と川にしか見えない自然味あふれる景観です。
梅の開花に春を感じるような、自然に寄り添って暮らしてきた昔の人々の気持ちを思いながら壕の周りを散歩してみると、自然と一体化するような気持ちになります。
パワースポットと聞いて“はてな?”と思った人は、すぐ隣りにある「町なかの聖地(憩いの場)」といったほうが、しっくりくるのかもしれません。揺るぎない存在感。ありがた~い仁徳さんです。




<行き方>


●仁徳天皇陵古墳(大仙陵古墳)・・・JR阪和線 百舌鳥駅 徒歩6分



〒590-0035 堺市堺区大仙町7